「週末猟師」を読んで

初めて猟師という職業の「匂い」というか「存在」を感じたのはジブリの「もののけ姫」だっただろうか。安寧の人里から深い山の奥底に潜めく獰猛な猪や熊を狩り、食し、売る。

小学4年生のバックドロップは想像した。彼らは…朝はきっと日も登らない早くから一人で山を登っていくんだろう。ザックの中には水分を少なめにしたおにぎり、きっと具は保存のきくように梅干しだろうか。他には水、雨具、あとは…多分荒縄なんかもいるのかもしれないな。胸のポッケにはマッチとタバコ、腰には大きな鉈と使い勝手のいいナイフなん下げて、そんな想像をしながら学校の帰り道を僕は楽しんでいた。      

いつか僕も…そんな小さな願いが現実味を帯びているのかもしれない。いや、時間はあるんだ…思い残すことは一つもあってはいけない、人生には。

狩人としての生き方

昨今害獣が人里におりて人を傷つけたり、田畑を荒らしたりと連日のようにニュースでは流れてきます。昨年では約156億円の農作物被害が出たり、42名もの方がケガ、ひどいときには命を落とすという痛ましい事件も起きていて大きな社会問題として関心を寄せています。

そうです。昔狩人にとっては食べるため、売るため、田畑のために捕っていた獣たちは、昨今では社会のお荷物という側面でしかとらえられていないわけです。この本では確かに狩人としてのサイクル「山に登る→獣を打つ→解体→食す」という私達が簡単にイメージ出来る従来の生き方は勿論、それを現代にアップデートとした生き方がこの本には記されています。現代の獣たちと社会の関わり合いをどうやって生業にするか?そしてこの本の随所に見られる「殺した命を粗末にしない、どうにか利用して見せる」という意地をどうビジネスにつなげていくかという奔走がみれます。

ジビエとして売るまでに

ビジネスにつなげるなら多くの方の検討の通りでジビエ肉としての販売は不可欠でしょう。         しかしながら自分で獲って身内で食べるとはわけが違います。なにせ他人様に食べていただくわけですから、国が定めた法を通す必要があるわけです。

 業として食用とする野生鳥獣の食肉加工を行う場合には、食品衛生法の規制対象となります。具体的には、基準に適合する食肉処理施設を設けること、処理加工を行うために必要な営業許可を受けること、基準にしたがって衛生的に処理加工を行うことが必要となります。
 また、野生鳥獣の利活用の盛んな一部の自治体では、処理加工において守るべき衛生管理の方法などを示したガイドラインやマニュアルを作成しています。野生鳥獣肉の処理加工を始める際には、各自治体にご相談ください。

厚生労働省のホームページより抜粋

多くの自治体にはジビエ専用のそういった食肉処理施設やそれらを構成する免許を持った人員不足、それ以前に施設がないことだったり、食肉になれる可能性のある肉とそれら結び付けるネットワークがない事がジビエがビジネスにつなげられない大きな問題であると本書では指摘しています。

著者である原田祐介さんは「殺められた獣たちの利活用されず、捨てられるという現状では、猟師が少ないという問題よりも解体する仕組みが整っていない問題を解決することのほうが優先すべきではないだろうか?」「最初は技術だけ身につけばなんとかなるだろうと思っていたが、そうではない現実をしった。若手ハンターの育成をしているがみんなはビジネスよりもその狩猟技術にしか興味はないようだ。」と語っている。

社会人としての猟師

現代に則す猟師としての生き方のモデルとして

副業                                 動画配信者                               3害獣駆除専門                             4駆除に付随してジビエ肉としての販売

があげられるんじゃないでしょうか?勿論4を全て一人で行う達人もいます。全て自前で用意して販売ルートも確保するというやり方その道で生きる人々との付き合いがあってのものでしょう。

社会人としての猟師生き方、従来の考えでは計り知れないその可能性に獲物たちは待ってはくれない。

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